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安全で安心な骨盤臓器脱手術の普及と後進の育成を目指す。
JPOPS:Japanese Society of POP Surgery

骨盤臓器脱手術POP SURGERY

腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC:Laparoscopic Sacral Colpopexy)

膣仙骨前面固定術は、子宮または子宮摘出後の腟断端 を吊り上げ、仙骨前面の靱帯に固定する方法で、30年以上前から行われている骨盤臓器脱の手術方法である。この手術は成功率の高さ、再発率の低さともに非常に優れた術式であるということはよく知られているが、この手術は開腹手術として行われてきたために、やや体の負担が多いという問題点があった。しかし近年、体の負担が少ない腹腔鏡手術で行うという術式が確立し、欧米を中心に非常に普及してきた。


TVM手術(Tension-free Vaginal Mesh)

Prolift(プロリフト)型のTVM手術は2000年に、フランスで開発された骨盤臓器脱の新たな術式である。この手術は、そけいヘルニアの治療で一般的に使用されるポリプロピレンメッシュを用いて、骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱脱・直腸脱)を治療する。メッシュを用いた手術のなかで最も多く行われており、有効性が高いといえる。また、日本では認可されていないが、欧米ではElevate(エレベート)という経膣メッシュキットが低侵襲な治療として高く評価されている。このエレベート型TVM手術は中等度の骨盤臓器脱に対しては低侵襲な治療として有用である。


Naitive tissue repair(NTR)

NTRは一般的に子宮がある症例に対しては膣式子宮摘除術を行い、さらに膣壁形成術と膣断端固定術を行う術式である。生殖裂腔が開大している場合には、後膣壁形成術の際に会陰形成術を行うこともある。膣断端固定術を行わない骨盤臓器脱の修復術は再発率が極めて高くなるために骨盤臓器脱患者に膣式子宮摘除術を行う際には膣断端固定術を併用すべきである。また膣を閉鎖し、骨盤内臓器の脱出を防ぐ膣閉鎖術という方法もある。
 

   
  

①膣断端固定術

 腟式に上部腟管を支持補強する術式には McCall 改良法、Shull法、仙棘靱帯固定術、腸骨尾骨筋膜固定術など多くの術式がある。基本的には仙骨子宮靭帯に固定する方法と、仙棘靭帯に固定する方法に大別される。McCall改良法、Shull法などの膣断端を仙骨子宮靭帯に固定する術式は、左右の仙骨子宮靭帯に運針した縫合糸を結紮するために仙骨子宮靭帯の近傍を走行している尿管の屈曲が起こることがある。したがって仙骨子宮靭帯の運針した後には必ず膀胱鏡で尿管口からの尿の流失を確認しなければならない。仙骨子宮靭帯に固定する方法として最近はCapio SLIMTMというスーチャリングデバイスが本邦でも使用出来るようになっている。

②膣閉鎖術

 高齢女性で性機能を温存する必要のない場合に腟閉鎖術が選択されることもある。腟中央閉鎖術は術式が簡便であり、低侵襲な術式といえる。しかしながら重症例では比較的再発率も高いことを認識する必要がある。子宮を摘除されている患者や同時に膣式子宮摘除術を行い、その後に全周性に腟粘膜を切除し、完全に腟を閉鎖する完全腟閉鎖術という術式もある。完全膣閉鎖術の方が再発率は低い。腟閉鎖手術においては、尿道を後腟壁側に牽引するため、術後に腹圧性尿失禁の発症頻度が上昇することが知られている。したがって術前から尿失禁が認められる場合には尿道スリング手術を併用する場合がある。


日本骨盤臓器脱手術学会

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